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2020年8月 6日 (木)

物語のあるグラス

19世紀末から20世紀初頭
 激動の時代に
  美の新風を吹かせた
    物語のあるグラスです。

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蕎麦カクテルに使用したアンティークバカラ
クープ シャンパングラスですが
 1907年製純正カタログ掲載品商品No.3458 “CYLINDRIQUE” 6客セットです。
 アンティークとは、もともと古美術や骨董品という意味で、100年以上前の芸術的なもののことを指します。

この19世紀末から20世紀初頭にかけてはヨーロッパを中心に開花したアール・ヌーヴォーの全盛期。
「新しい芸術」を意味するアール・ヌーヴォーは、花、草、樹木、昆虫、動物などや、自由曲線の組み合わせによる従来の様式に囚われない装飾性や、鉄やガラスといった当時の新素材の利用などが特徴。
 ガラスでは特にエミール・ガレ(1846-1904)が特出しており、1900年のパリ万国博覧会の頃が一番華やかだったのではないかとおもわれます。
 その後アール・ヌーヴォーは装飾過多や退廃的になって行きます。

アール・ヌーボーに反する新しい芸術の流れアール・デコは幾何学的図形をモチーフにした記号的表現や、原色による対比表現などの特徴を持っていますが、生まれるのは1910年代半ば頃からで、このグラスが生まれた1907年は、まだまだアールヌーボーの全盛期です。

 この1907年に生まれたグラスと丁度同じ頃1904年にはセザンヌが最晩年作のサント=ヴィクトワール山を描いています。

印象派のセザンヌは最初期1880年〜1904年迄にサント=ヴィクトワール山を30数点描いていて、

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 最初期1880年の作品はいかにも印象派っぽいやさしい風景画ですが、

 


最晩年の1904年作のサント=ヴィクトワール山は

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ほぼ全てのモチーフが角ばった 造形から構成されているような描き方になっていて、
 次ぎに来る新しい美術のアール・デコの香りが少し始まっていますね。(その後セザンヌはやがて次世代の前衛美術キュビズムの基礎となっていきます。)

それでも、セザンヌ最晩年のサント=ヴィクトワール山はまだ、前時代の印象を多少含んでいますが、

このアンティークバカラNo.3458をもう一度見て下さい。

 装飾的なアールヌーボーの植物的で曲線的な装飾など全く否定する幾何学的図形デザインで、次ぎに来るキュビズムよりももっと現代的。斬新だと思いませんか。

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まだアール・ヌーボー感の強い時代に果敢に前衛的な幾何柄をぶつけていったデザイナーはどんな人だったのでしょうね。

おそらく、新し物好きのパリジャンやパリジェンヌにこのアヴァンギャルドな幾何学的なパターンのエッチングは反響が大きかったのでしょう
15型もの作品のシリーズとして作られています。

このシャンパングラスを作った作者も まさか100年後に日本で蕎麦用として使われているとは想像もできないでしょうね。
またこれを知ったら、どんなにか驚き、この斬新なデザイナーは面白がってジャポンへ食べに行きたいと思ってくれるでしょう。
 

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こうやって歴史をひもときながら器を使う楽しみ
 
 物語のある料理を
      経糸に
   物語のある器を
        緯糸に
      夢を物語るたのしみ

どんな料理にもそれぞれの物語があり、 食材や料理、器や食空間、料理人にも、更には、お客様にもそれぞれ今日に至る迄の歴史と物語があり、 それらがここに一堂に介して調和して
    更に新しい物語が生まれます。

   野の花料理・恵那の野山の蕎麦懐石

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