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2017年6月13日 (火)

詩と美術館 2017/6/10

中津川市の「詩と美術館」で
近代短歌を楽しく鑑賞する講座を受講しました。

 

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第1回の今回は歌人「落合直文」です。
落合直文は正岡子規 佐々木信綱 と共に近代歌人の三傑人で、啄木や白秋の師の与謝野鉄幹 晶子などの師で、系譜から見ると正岡子規 佐々木信綱 などと双璧の大御所でもあり、落合直文がいなければ日本の短歌界はおおきく変わっていただろうと思えるのですが、なぜかあまり知られていません。

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その落合直文についての講座。
講座では短歌を詠み それについて感動を述べられながら進んでいきました。
とても良い一時間の勉強でした。

 

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百人いれば百通りの見方感じ方があります。

見ることは
観ること
魅ること

僕の主観で勝手に並べ替えて載せて見ます。

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「砂の上にわが恋人の名をかけば波のよせきてかげもとどめず」

これが明治15年代のうたに見えますか?

プラトニックだね〜 
『恋人』という言葉を初めて使った人だそうです。

僕も海に行って何度か書き 消えては書いた思い出があります。

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「ただひとつひらきそめたる姫百合の花をめぐりて蝶ふたつとぶ」

こういう経験もよくありました。
僕の場合最後に 「失意の中に涙ぐむ」となる失恋が多かったのですが。
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「君を思ふ涙とも知れかき くらし日を ふらんすの雨のゆふベは」
 
カタカナのフランスではなく、平仮名の「ふらんす」はモダンですね。

「くれぬとて二人わかれしかのときの夕に似たりむらさきの雲」
恋人と別れ際は寂しく 夕刻はそれで無くても寂しいものなのに

「こがらしよながれゆくへのしずけさのおもかげゆめみいざこの夜」
「をと女子はつみてくだきて捨てにけり ばらの花には罪もあらなくに」

若き頃の恋愛の様々が蘇るようです

「簪もてふかさはかりし少女子のたもとにつきぬ春のあは雪」

「わが歌をあはれとおもふ人ひとり見いでて後に死なむとぞおもふ」
 
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次は 家庭の良き夫であり父が出ている短歌です。

「霜やけのちひさき手して蜜柑むくわが子しのばゆ風のさむきに」

「ねもやらでしはぶく己がしはぶきにいくたび妻の目ぞさますらむ」

「今朝のみはしづかにねぶれ君のために米もとぐべし水もくむベし」
愛妻家ですね、又は奥さんが病気でもされたのでしょうか

「をさな子が乳にはなれて父と添ひ今宵寝たりと日記にしるさむ」

こういう家庭的な唄は落合直文が始めたそうです。
 
 こうやってみると落合直文って文体をちょっと変えたらまさに現代短歌に思いませんか。
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秋の夜のふけ行くままに岩ばしる水のひびきの空に澄みぬる

すててこし石を再び思ひいでてー里民りぬこゆるぎの里

里の子にたちまじりつつ寺の門にとしわかき尼の羽つきてあり

はなちやる籠のうぐひすこの春は父のみはかのうめになかなむ

名もしれぬちひさき星をたづねゆきて住まばやと思ふ夜半もありけり

さわさわとわが釣りあげし小鱸のしろきあぎとに秋の風ふく

時代を超えた 静かな自然の情景ですね
…………………………………………
 
悲しい詩

「小屏風をさかさまにしてその中にねたるわが子よおきむともせす」

枕元の逆さ屏風
この夜 お子さんが亡くなられたんですね。

「おくつきの 石を撫でつつ ひとりごといひてかヘりぬ 春の夕ぐれ」

寂しい夕暮れですね

奥都城・奥津城(おくつき)とは神道の墓のこと。
神式でお墓を建てる場合、その墓所の近くに海や川・湖・池などがある場合は「奥津城」の文字を用い、それ以外は「奥都城」の文字を用いるのが一般的。
また、神道の奥津城は仏式のお墓と違い、お墓の最上部がとがった形となります。

「去年の夏うせし子のことおもひいでてかごの蛍をはなちけるかな」

季節は7月ごろ淡い蛍の光に亡き幼子を思われたのでしょうか。
 
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落合直文の短歌は、とてもいいうたばかりですが、明治15年代頃に作られた歴史のあるうたというより なぜか現代風。

現代風のさりげなさや、やさしさ、普通っぽさ、これがすごく良いのだが、それが却って強い特徴のある正岡子規 佐々木信綱などに隠れて目立たなくさせたのでしょう。
とても優しさの溢れすぎる作家でした。そしてこのことが後々大きな和歌の幹になって行ったのでしょう。
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若山牧水は落合直文の孫弟子ですが、
中津川にある料理旅館の長多喜には牧水や虚子などがよく逗留して、短歌や俳句を残しているそうですが、

これから行くお昼ご飯は偶然長多喜に予約を入れていました。

どういう偶然でしょう

もっと文学の勉強をしろっと言われているみたいです。
やはり神様は僕には文学の素養が無いことを良くお見通しです。
 

長多喜でお昼を頂き、牧水と虚子の碑を見ましたが、どちらもカスミ網猟に関係するうたでした。

牧水のうた
恵那ぐもり 寒けきあさを 網はりて
待てば囮の さやか音になく

虚子
主人自ら 小鳥焼くれて 山河あり

どちらも鳥を獲り食べる情景
先日、「鳥の道を越えて」という東濃中心のカスミ網猟の映画を見ましたが、この長多喜のある小高い山は、かつてはかすみ網を仕掛ける場所であり、その写真も残っているが、牧水も虚子も、長多喜へ来る目的の一つがよそではあまり食べられない山国の贅沢品 鶫(つぐみ)だったのだろう。

落合 直文(おちあい なおぶみ)
文久元年(1861年)11月15日)

陸奥国本吉郡松崎村字片浜(現・宮城県気仙沼市字松崎片浜 : 煙雲館)にて仙台藩伊達家ご一家筆頭の家柄で、鮎貝太郎平盛房の二男として生まれた。11歳から13歳にかけて仙台私塾、仙台中教院で漢学などを学ぶ。明治7年(1874年)、国学者落合直亮の養子となる。養父転任で伊勢に移り、神宮教院に学ぶ。
明治14年(1881年)に上京し、翌年には東京大学文科大学古典講習科に入学。明治17年(1844年)、中退し入営、3年間の軍務をつとめる。明治21年(1888年)、伊勢神宮教院時代の師・松野勇雄に招かれ皇典講究所(現・國學院大學)の教師となり教育者・国文学者としての道を歩む。翌年からは第一高等中学校(現・東京大学)、東京専門学校(現・早稲田大学)、東京外国語学校(現・東京外国語大学)、跡見女学校(現・跡見学園女子大学)など多くの学校にて教鞭をとる傍ら、歌集、文学全書の刊行など多彩な文筆活動を展開した。とりわけ 明治22年(1889年)には、森鴎外らとともに同人組織の新声社を結成し、8月に日本近代詩の形成などに大きな影響を与えた共訳の詩集『於母影』(雑誌『国民之友』の夏期付録)を刊行した[1]。なお、一高時代の教え子には尾上柴舟がいる。皇典講究所~國學院~國學院大學には晩年まで在職した。
明治26年(1893年)には浅香社を結成し、与謝野鉄幹、尾上柴舟、金子薫園、鮎貝槐園などが集まり、短歌の改革に努め、その後門流から与謝野晶子、石川啄木、北原白秋など輩出し、浪漫的近代短歌の源流となった。また『日本大文典』『ことばの泉』などの文法書や事典の編集刊行に尽力し、功績を残した。
直文は明治の新時代に古来の和歌が一般人に平易な言葉で作歌できるようにし、また貴族、老人のものであった和歌を若い人でも作歌できるように努めた。また門弟には真似することを戒め、個性をとても大事にした 1明治33年(1900年)に門弟である与謝野鉄幹の創始した『明星』には、監修の協力や歌文を寄稿した。
代表新体詩に
「桜井の訣別」
『青葉茂れる桜井の、里のわたりの夕まぐれ)』

「孝女白菊の歌」
『阿蘇の山里秋ふけて、眺めさびしき夕まぐれ)』
の名作を残し、
また短歌に「緋縅のよろひをつけて太刀はきて見ばやとぞおもふ山さくら花」等がある。

明治36年(1903年)、糖尿病にて42歳で死去。

著作
編集
* 『孝女白菊の歌』
* 『萩之家歌集』
* 『ことばの泉』
* 「騎馬旅行」(福島中佐の単騎シベリア横断を扱った長詩)
* 「陸奥の吹雪」(八甲田山の雪中行軍遭難事件を扱った詩)

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ギャラリー詩と美術館
◆営業時間
毎週木~日(月・火・水定休)
11:00~17:00 喫茶の営業はギャラリーに準ずる

〒508-0015
岐阜県中津川市手賀野41-3
TEL&FAX (0573)65-3722

◆Facebookにて随時情報発信中
https://www.facebook.com/shitobi2015/

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