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2017年4月 4日 (火)

安岐そば  阿木そば 中津川市 2017年3月

安岐そば
 岐阜県中津川市 阿木産のそばである。

先回ひな祭りイベントで 阿木川公園へ言った時に たまたま見つけたそば。

 

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阿木産の蕎麦という事で以前に蕎麦屋数カ所で食べたことはあるが、どこも機械製粉で50メッシュぐらいの粒子の蕎麦で美味しいが特別でもなかったので、自分で打ちたいと思わなかった。

ところが、ここに、丸抜きそばがあった。(丸抜きとは そばの黒く硬い外皮だけを取り去ったそばの実のこと)

(同じそばの実でも機械製粉と手碾き(てびき)では味が全く別物だから)
丸抜きがあったことで、これなら一度手で挽いて試してみようと思い試しに一袋買ってみた。

そば打ちをはじめて20有余年
研究好きで様々チャレンジして今はよっぽど難しい蕎麦でも十割で打つ自信もあり、
現在私の「恵那の野山の 蕎麦懐石」のメインディッシュ『超々粗挽き蕎麦」も、丸抜きそばを篩(ふるい)を使わないで手で石臼を回し一度だけ挽いた超々粗挽きを冷水だけでつなぎ無しの十割で打った蕎麦です。
(粗挽き蕎麦として20メッシュ位の冷水での十割蕎麦なら普通の蕎麦屋さんでも打てるでしょうが、これはそれより粒子が2倍以上大きいものが加わり難度がとてもアップするのでこれが打てる蕎麦屋はとても少ないとおもいます。)

それほど難しい蕎麦ですが、今回の 阿木産のそばは、それよりも更に難しかった。
ここまで大変だと思わなかった。打つことが不可能に近い蕎麦でした。

 

 丸抜きで販売しているものは、大きさもほぼ同じで、鬼殻は入っていないのが普通だが、阿木そばを袋から出してみると大きさも割れもあり、所々鬼殻が入ってしまっている。

 

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丸抜き専用の機械は高価なので使用せず、従来の機械で、鬼殻を扇風機などで飛ばされたのだろう、努力の跡かな。

黒い鬼殻を手で少し取ってみたが多いのでそのまま挽くことにした。
 

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挽き終わったそば粉は篩を使わない一度挽きだから粒子は頗る大きい。大きいものは2mmほどもある。

鬼殻が所々散見

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挽き終わったそば粉を握ってみると、この握った時の粉の様子で後の水回しの水の量が予想できるので、粉を握って、

手を開くと粒子がまとまらずサラサラ崩れてしまう。

 

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そばの実の含有水分量が少ないのだ。 (嫌な予感だ)

 
そば米の水分含有量が高ければ繋がりやすいが、サラサラで、水分含有量が少ないと繋がりにくく、打つ時に入れる水が読みにくい。

この乾燥した2mmほどの粒まで入った超々粗挽き粉をつなぎ無しの冷水で打つという最高難度を行う。

一般的に粗挽き蕎麦だと水回しで加える水は50%から最大でも55%位だが
やってみると50%では全くダメ 55%にして捏ねてみてもダメ。
どんどん吸って行く 60%でもダメまだ固く いうことを聞かない。
少しづつ増やして捏ねて行く 62% ダメ 65%ほど行って漸く
あと数滴加え漸く打てた。

20170404_14500  

乾燥しすぎだったこともあるが、こんなに水を加えないと出来なかったのは初めて。

伸ばし作業も普段とは違い特別な方法でやらねばならない。

 

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Img_1460 伸ばしていく時に 割れそうで怖いが、これを割れないように横ではなく力を入れて上下に押さえるようにして伸ばす。

至難の業

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鬼殻が所々に入っているのと粒子がとても大きくて切るとき、鬼殻の所で切れてしまう。

 

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時間も普段のそば打ちの2倍以上いや2.5倍位の時間を要している。
たった500gのそばなのに。 

 

20メッシュほどの超々粗挽き蕎麦をだす蕎麦屋では一杯が1200円〜1500円位するが、

阿木産で無篩いの手挽きで、その倍以上に大粒の粒子の超々粗挽き十割そばは、並の力量では打てないし、打ち時間もかかる蕎麦であるから、

もしもお店で出そうとすれば2000円〜2500円いただかないと合わないだろう。

 ただ、これを打てる蕎麦屋さんはおそらく いないだろうと思う。

(何処かのお店でトライして欲しいな。)

 
 

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写真はちょっとピンぼけになってしまった。

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さて、食べてみよう。

多少鬼殻が入ったため、色は普通の丸抜きよりほんの少し濃い。
いつものことだが、何もつけず食べてみる。

 

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少し鬼殻が混ざったことでそば殻の苦味と渋味がほんの微かある。
(鬼殻からの真黒な蕎麦が好きな人はそれで良いだろうが、この味はそばの旨味を消すものだ。)

私がいつもお客様へお出しする八ヶ岳産超々粗挽き蕎麦と比べると甘みも旨味も少ないが、よその手打ちの店と比べると同じかそれよりは良いだろう。

そこで、しばらくこのままにして味がもう少し開くのを待つ事にした。
(まともに作った蕎麦は茹で上げた直ぐと しばらく置いた後は味が変わって甘みと旨みが出てくるのです。)
10分以上待ってから食べてみた。

旨味が出てきている。
なかなか良い。
美味い。

これには蕎麦つゆよりも 塩が合う。

 

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酒は昔からの木の槽木桶で古流造りのマッタリとした不老泉。
 
思った以上に阿木産のそばはレベルが高い。
地元のそばを随分見直した。
 
おいしいそばでした。
いい蕎麦になった、ただ惜しむらくは、少し入った鬼殻の苦味が微かではあるが邪魔だ。
これがなければ、いい線を行く蕎麦だ。
 
そして、もう少し旨い蕎麦になるのなら
「恵那の野山の蕎麦懐石」でもようやく地元の蕎麦を使える可能性が見えてきた。

しかし、こんなに疲れる蕎麦は毎回はちょっとキツい。
生産段階や収穫した時の方法など、改善し、もう少しそば自体の水分含有量を持たせる方向に行って欲しいと思います。

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