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2017年1月13日 (金)

羅を織る人

 
霧に隠れる城  岐阜県の岩村城の城下に
悠久の時を超え
 幻を織る仙人のような方が居られます。
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 私は父が手織り作家であり研究者でもありましたから手織り機のそばで様々な織物を目にして育ちました。

 

 

 

そして成人後の仕事はファッションMDでしたから、 世界の民族的な手織り・織機から現代の工業的な織物・織機までの多くを見てきていますが、昨年の夏、とても変わった初めての織機を見る事が出来ました。

 

 私が初めて出会った とても複雑な織機と織物

 

 

 

蜘蛛の糸より細そうな絹糸がかかった織機で

 

 

 

高機(たかばた)に似ていますが、簾(すだれ)のようなものと糸で作った大掛かりなカーテンの様な綜絖(そうこう)があり、その中を経糸(たていと)が通っている。

 

 

 

 
 
 
 
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たった一本緯糸(よこいと)を通す度に複雑な手の動き、機の動きで、数分の時間を要する。

 

 

 

こうして糸が複雑に絡まり織られていくが、この複雑さの故に1日8時間懸命に織り続けても4cmしか織れない貴重な織物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その機から織り出される布は 繊細で細やかな羽衣のような蜘蛛の巣のように細く絡み合った不思議な布

 

 

 

織られた後は織物なのに経糸(たていと)が真っ直ぐではない。織物なのに絡まって横にも編んでいるようにもみえる。

 

 

 

 

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 蜘蛛の糸の様に細く絡まり合って織物であって編み物のような不思議な布だ。紗や絽と同じく生糸や半練糸を用いる捩織(もじりおり)と言って、経糸を絡み合わせた間に緯糸を通す織り方をする薄く透き通った織物の一種ですが、紗や絽が経糸2本を絡み合わせて交差させただけなのに対して、羅は3本以上の経糸を絡ませて織り目が網み物のように緯糸と次々と絡んでいくのが特徴です。

 

しかしこの技法の複雑さが反って羅の衰退を招き、その代わりに簡単に織れる「紗」が後世に伝わっていくことになりました。

 

68cmの幅に4500本もの経糸が通り、髪の毛より細い糸

 

 

 

 

 

 

14デニール(1デニールは、9000メートルの糸の質量が1グラムいうことを表す)の糸

 

 

 

1cm織るのに緯糸が120本走り

 

1日8時間懸命に織り続けても4cmしか織れない幽玄の織物

 

 もう何百年も前にいなくなったと思っていた幻の最高級布 「羅」を織る人が同じ市内の岩村町におられたのです。

 

『羅』

 

「ら、うすもの」と呼ばれ、あまりにも雅(みやび)な絹織物で、特別な貴族の羽織りものとして着られたりしていました。

 

羅は絹織物の一種であり、それは透き通るほどに薄い布で、甲骨文字の「羅」は「網」を意味しますが、網のように絡まった織り方の透けた絹織物です。

 

現代の夏にはジヨーゼツトやオーガンジー、和服の世界では絽(ろ)や紗(しゃ)など、織柄が繊細で軽く薄く全体が透けるような薄布は繊細優美な雰囲気を漂わせますが、かつて、その頂点にあったのが羅織物です。

 

 「一張羅(いっちょうら)」という「一番上等な一着の着物」という意味の言葉がありますが、「羅」の文字が使われているように「羅」がすべての中で最も高級な着物で、天女の羽衣のような布でした。

 
できあがった布も素晴らしいが「羅」が特別上等なものとされたのは、その技法が極めて複雑、高度なもので、選ばれた者しか織れなかったからでもあります。

 3世紀の中国 漢代において、「羅」は錦の服の上から羽織られ、塵除けとして使われたといい、日本には4世紀前半に中国から渡来し、飛鳥時代には国産品もようやく製作できるようになり、それらは正倉院の御物の中にも伝世されています。

 

室町時代までは五位以上の貴族の冠を作る時に使われていましたが、あまりにも複雑な組成のため特殊な機を使って織るので、通常の機を使って織ることができる、羅から発生した紗に押されて室町時代には織られなくなって消えてしまった幻の布です。

 

 この幻の織物に魅入られてしまった岩村町の方は、何とか自分の手で復元し織りたいと始められましたが、その織り方の技法書は応仁の乱で燃えてしまったのか散逸してしまったのか何百年の内に消えてどこにも現存しません。

 

 羅織物を見ながら織り方を様々研究し苦労の末ようやく復元できたそうです。

 

一日懸命に織っても4cmしか織れない幽玄の織物

 

こんな不思議で幻の布と幻を織る方のトーク

 

いざ行かん

殿上人の世界に

 

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