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2016年10月19日 (水)

岐阜県現代陶芸美術館   『石黒宗麿展』

岐阜県現代陶芸美術館の美術展は、県にあまり余裕がないのか、いつも中途半端で、期待していくとそれほどでもない事が多かった。
だが、今回は大きくまとまっており、 出品点数も多く、石黒宗麿の時代別展示はとても分かりやすく今回だけは岐阜県現代陶芸美術館を見直しました。
今回は久しぶりの大ヒット、すばらしいです。

 
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石黒宗麿は富本憲吉、濱田庄司、荒川豊蔵と共に陶芸界第一号の人間国宝4人の一人ですが、幅広く作陶されているのでこれという特徴があまりなく、名前位で私の記憶の外にある作家でした。

中国唐代の三彩、宋・金・元代などの歴史的に解明されていない様々な陶芸技法を解明して行きますが、どこを解明するかと言う選球眼を持ち、
それら解明したものを自分なりに咀嚼し新たな表現にまで至る凄い秀才でした。
 
技術が多才過ぎて掴み所がない。
年代ごとに技法が大きく変わり、壮大な世界があるが、
おそらくその根底に流れるのは中国 宗の時代ではないかと思います。
 
そして時流を見る目も持っていて、自分の作品が他者からどう見られているかも分かって作品が作れる稀有な、ビジネスもできるマルチな方。
だから一部の作品に、その時の対象者を意識した作為的な一面も現れています。
(一例ですが、1937年、パリ万国博覧会に出品し、銀賞を受賞しますが、これらはいかにもフランス人を意識して作られたのが見え見えで、
同じような圧倒的なまでの才能の塊でありビジネスにも長けていた。北大路魯山人ですら苦言をはいている。)

どちらにせよこういうことまで含んでも、一流品ができてしまうという稀有の陶芸家だと思います。

彼自身が取り組む内容が時代別に変わっていったので、特にこの美術展の時代別展示は的を得ています。

本当に素晴らしいものが多いのですが、計算された美しさなのか分からないが、どれもきれいに収まり、その故だろうが、それらを超越した「これは凄過ぎる」というものが、無い。

陶工と呼ぶより
超々一流のトータルプロデューサーなのではなかろうか。
 
天才というよりも特別鋭い感性を持った秀才なのだろう。
こういうさまざまなことまで感じさせてくれる美術展でした。

開催期間
[前期]9月17日(土)-10月30日(日) [後期]11月1日(火)-12月11日(日)
岐阜県現代陶芸美術館でこれだけリキの入った美術展はそうないでしょうから、是非皆様もお出かけ下さい。
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石黒宗麿(いしぐろむねまろ、(1893-1968)は昭和30年(1955)に人間国宝の制度が誕生すると同時に陶芸界から富本憲吉、濱田庄司、荒川豊蔵とともに、「鉄釉陶器」の保持者として認定された4名の陶芸家の一人である。
(ちなみにこの時に河井寛次郎も推挙されたのだが、河井寛次郎は私は一介の陶工ですと言って辞退している。自作にも銘を入れず無位無冠を通している。
 
過去の人間国宝の辞退者
河井寛次郎
熊谷守一
大江健三郎
杉村春子

石黒は鉄釉、とくに天目や柿釉のイメージが強いが、実際には唐津・三島・刷毛目・伊賀焼・志野など製作の幅がとても広く、中国唐代の三彩、宋・金・元代の技法再現に取り組み再現します。
宋代では磁州窯(じしゅうよう)や定窯(ていよう)、さらに均窯(きんよう)の技法では日本で初めて「木の葉天目」の再現にも成功。このように中国古陶磁の再現に大きな功績を遺しました。
 
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石黒宗麿個人
「貧困の中を悠々と闊歩し、この道を歩み通した生涯一野人。自由奔放、何人にも頭を下げず、心のおもむくままにやきものを作って楽しんだ人だ」と石黒宗麿の没後に小山冨士夫は語ったそうです。
 
 貧困をもろともせず、窯出しされた出来栄えに夫婦で泣いて喜び合い、その反面、意に適わぬものは、ことごとく壊してしまい、一窯で数点しか残さない事もあったなど、厳しさを持っている。

 芸妓を身請けするために無断で叔父の土地を抵当に入れ、身受け披露の席から検挙・連行されたり、
金が入ると祇園の一流茶屋で遊興し、無くなっても平然としているなど、豪快な人物で
⚫︎「金は仕事の滓(かて)」
⚫︎「贅沢を知らぬ者 芸術家の素質に欠ける、知識のみの作家」
と曰う。
自身への弁解の様にも受け取れるが、真実には違いないだろう。
 

 世襲の窯元や千家十職などという既成の権威には強い反感をもち、陶芸界の組織などにも属さず、帝展・文展(現在の日展)などを嫌い、国家及び審査員の息のかかった人たちが多いので出さなかったそうですが、 日展審査不正が先日の朝日新聞報道で取りざたされたように、戦前から現代まで日展は権威の息で動いているようですね。 今更ですが。

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