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2013年2月12日 (火)

料理人は食べられる瞬間を大切にします

いつも新しい発見があるフランス料理 ル・トア・ド・パリ

もっと早くブログを書きたかったのですが、時間がなかなか取れませんでした。

昨年同様クリスマスにお邪魔したかったのですが、来れなくて、年明けになってからお邪魔しました。

 

その料理については次回述べますが、

 

料理を食べ終わった頃、小田川シェフが

「料理人は食べられる瞬間を大切にします。 食べていただく時が一番美味しくなるように作るものです」と、いつもの静かな口調で淡々と言われた。 

感動してしまった。

図らずも、私が料理に関して一番重視していることとまったく同じであった。

2011年のクリスマスの時

コースの最後のデセール

シェフの自宅の栗の木から採った栗のケーキ
ガナッシュ
フランボワーズ

どれもうまくつくっている おいしい

ケーキ屋のケーキより全然旨い

「とても美味しいです」と小田川シェフに言うと、

シェフ曰く
「レストランのケーキは「デセール」です。
食事の後に楽しむ料理の一品

ケーキ屋のケーキは作り置きしなければならないので
どうしても長持ちさせなければならないので、その作りも違い 旨さが落ちてしまうが、

レストランでは出来たてを食べていただくので、その瞬間に最高の旨さが出るように作る。
だから、旨いのはあたりまえ」というようなことを
さらっと言われた。

「レストランでワゴンに入れてくるものは作り置きのものが多いが、それらは本来のレストランの出すものではない。

あくまでもレストランのケーキの基本は食事と同じで作ってすぐ食べることをめざして作られるものです。」

しっかりと納得した。

 

 レストランには料理の美味しさだけでなく他にも美味しさを盛り上げるものもあります。

 

ずっと昔 東京にまだ一流のフランス料理店が、
銀座五丁目のソニービルB3の「マキシム・ド・パリ」位しかなかった頃の話。

   … … … … … …

  銀座マキシムについて HPより

 パリ「Maxim's」の全てを再現し、1966年にその幕を上げた銀座「Maxim's de Paris(マキシム・ド・パリ)」。

フランス政府から「歴史的記念建造物」に指定され、修復が許されるのはルーヴル美術館の修復士だけという本店のダイニングが、ここ銀座ではそのままの姿で、46年の歴史を刻んできました。天井からこぼれるステンドグラスの照明、クラシカルな鏡、真紅とゴールドが醸しだす優雅な世界。まさに美術館のようなアールヌーヴォーの贅沢な空間は、マキシムを表現する言葉エレガントそのものです。

http://ginza.maxim-s.co.jp

 

   … … … … … …

 

 父は長年、自作の手織り物の個展を年2回、銀座の画廊で開いていましたが、まだ子供であった私は一度 東京へ付いて行き、その時に叔母達と一緒にマキシムへ食事に出かけた。

 

 マキシム・ド・パリは子供でもネクタイ着用であった。というより、ネクタイ着用が義務だった。

 

ウエイティングバーで ロングノーズの椅子に座りソーダをいただき
食事の用意が出来るまで待ってから
ダイニングルームへ案内された。

 美術館のような絵が飾られ とても豪華な内装

 

我々の通されたテーブルにはウエーターが二人付いている。

彼らは客の後ろでそれとなく動きをみており、動きにそつがない。

 

飲み物が減るとすぐに動く、我々が食べる早さ、タイミングも読んでいて厨房と連絡を取り合ったり、ゆっくり食べるときはゆっくりと早く食べるときは早く、何かあるとサッと客のためにさりげなく動く。

 

子供ながらに こういうすごい仕事もあるんだナー、と感心してみていた。

これが美味しい料理を更にいっそうの満足を与えるんだ。

それ以来のフランス料理とのお付き合いだが、美味しいレストランには美味しいだけの理由があることを知りました。

 銀座 マキシム・ド・パリには「ナポレオンパイ」というとても美味しいケーキがあります。

ミルフィーユの事ですが、マキシムのナポレオンパイはナポレオン皇帝が被っていた帽子に形が似ていた事や、数あるお菓子の中で「皇帝」を意味するくらい美味しいことの由来で「ナポレオンパイ」と呼んだそうです。

 

 私はこれが大好きでした。時々叔母が帰省するときにお土産で持ってきてくれました。

大學生時代、私は東京にいましたが、時々、銀座マキシムで 珈琲とナポレオンパイのセットのティータイムセットを食べました。

アルバイト代が200円~230円くらいの頃ティータイムセットは1000円でした。

今の物価で見ると3000円ぐらいになりますね。

とても高いものでしたが、夜の建築現場で朝まで働くと280円位もらえるので、家庭教師のバイト代とあわせると時々なら何とか行けました。

 

小使いを貯めて休日に、まず銀パリでシャンソンを聴きます。

ワンステージジュースかコーラが付いて700円。

金子由香里や工藤勉、たまに丸山明宏(今の美輪明宏)や 旗照夫などが出ていました。

シャンソンや時にはカンツォーネを聴いて

歩いて5分ぐらいのソニービルB3へ向かいます。

 

重厚な雰囲気のマキシム・ド・パリ

学生の自分にはやや敷居が重い。でも、美味しいものには替えられません。

本当に美味しい、何物にも代えられないくらい美味しかった。

そのナポレオンパイが、数年後、デパートの喫茶でも食べられるようになりました。

その喫茶でナポレオンパイをたべます。

大好きなナポレオンパイ とても美味しい でも 銀座ソニービルB3のマキシムで食べるものと少し味が違うのです。

 

パイのパリパリっとした感じや どこか少し違う。

 

そう、そこには「時間」という邪魔者がいたのです。 できた瞬間から衰退が始まるというものが存在したのです。

 若いときからこういう経験をいろいろさせていただいたので益々食のおもしろさに目覚めていったのです。

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