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2011年5月22日 (日)

倉吉の圭ちゃん35 家の記憶2

柿の実を取りに
別所のおっちゃんがきた事がある


自転車で 茶色のサンダル
グレーのズボンにグレーと茶色のストライプシャツ

いつもそんな感じのいで立ちだったが
秋なのでウールのシャツだった


「圭ちゃん とりいくか」
「ざるあるかえ?
とった柿いれっだけ」


と言って柿の木の方へ
タバコを吸いながら歩いて言った

別所のおっちゃんは
いつもタバコを吸っていた


柿をとるのに
長い竹の竿を使う

竿の先がVの字にカットしてあって

そのVの字部分に柿の実の根元を入れ
クルンと回してもぎとる


竹の竿が届くところまではとれるが

柿の木は大きくて
上の方の実はとれなかった

そこでおっちゃんは
柿の木を登りだした


別所のおっちゃんは
どう見ても年寄りだった

なんせ
歯が無いのだから

そのうえ やせてて
ひょろひょろだった


なのに
スルスルと木に登ったので驚いた

さらに タバコを吸いながら登ったのだから
さらに驚いた


一番下の木の枝に登って
枝の上でしゃがんだ姿勢で
右手を幹にあて

猿のように上をキョロキョロ見て

「竿ぉ取ってぃや」

と言った


竿を渡すと
また柿の実をとりはじめた

竿でとっては僕に竿から柿をはずさせ
またとる


次から次へととっていくので
下にいる僕は大変だった


そのうち
そこからも届かなくなり

更に上の枝に登っていって
とりはじめた
とても身軽なんだけど
落ちやしないか心配だった

ひとしきり柿をとりおえると
下の枝までおりてきて
タバコを吸った

そして
何事もなかったように
帰っていった


とった柿は
後日 皮をむかれて干してあった

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