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2011年4月23日 (土)

倉吉の圭ちゃん26  焼酎

食堂に入って左に冷蔵庫があり
その横にガラス張りの窓がある

その辺りが父の指定席になっていた

窓のさんには
小さな仏像が置いてあった
父がインドネシア(だったと思う)から買ってきたものだ

真鍮製の小さな仏像だが
なかなか美男子で官能的なフォルムをしていた

蓮の花の上に座って片手をほほに付けていたような気がする

そして その左右に直立した仏像があった

後にその三体を収めるやしろを
陶器の焼き物で作っていた


仏像の周りには

お酒や焼酎や焼酎漬けなどの瓶が沢山置いてあった


父は仕事が終わるとその席であぐらをかき

ちびりちびりと晩酌を始める

たいてい焼酎を飲んでいたので

「なんで焼酎飲むぅ」
と聞くと

父は
「酒の方がええわいや」
「焼酎のほうが体にええだってえや」
と言っていた

とは言え
ウイスキーだろうがウオッカだろうが
あれば何でも飲んでいた


焼酎はタヌキと言う黒い大きなとっくりに入れて飲んでいた

いつも いつも タヌキで飲んでいたと思う

父を知る人はタヌキを見ると

「たすくさんが
使よぉんなったないな」

「横においとんなったなぁ」
と言われるくらい
いつも使っていた

焼酎漬けは
たいていパイナップルの芯だった

パイナップルのまるっぽを食べるとき
硬い芯のところが余る

ところが 芯のところは
噛んでみるととても美味しい汁が出てくる

それで焼酎に漬けてみる事になった


僕は子供だったから飲んでみる事ができないから

「美味しいだかえ?」
と聞いてみた

すると父は
「これかいや」
「ちょっと待っとれぇよ」
と言って
小さなグラスに入れた

そしてそのグラスを持ち上げ
天井の照明にかざして

「どがないや」
「綺麗だらぃや」

と言ってグラスをゆすった

グラスの中の焼酎は
パイナップルで黄色く色付き
それが揺れてキラキラと輝いて
とても綺麗だった

そして匂いをかがせてくれた

アルコールのスーッとした感じと淡い甘いパイナップルの匂いがした


父は口をすぼめてその焼酎を口に入れ
口の中でクチュクチュっとやって飲んだ

ニコッとして
「こりゃ旨いぃや」
「ジュースみたあな感じだわいや」
「炭酸入れたったら
ジュースになるぞいや」
と言って
おかわりしていた


僕にも少しくれたが
まずかった

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