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2011年4月13日 (水)

倉吉の圭ちゃん21 別所のおじちゃん

別所のおじちゃんはいつも自転車でやって来る

母が
「玄関から入りんさらええにぃ」
と言うが
別所のおじちゃんは
「ええいなええいな」
と言って土間の方から入ってくる

いつも円卓の父の席の隣りあたりに
あぐらをかいて座り
コップでお酒を飲んでいた

別所のおじちゃんは
しわくちゃで
右のみけんに大きなほくろがあり
そして歯がない

歯がないから食べているとき
ほっぺたが異様に膨れたりしぼんだりした

たばこを吸う時は
ほっぺたがへこんで歯ぐきの形がわかった

一本か二本は前歯が残っていたかな…

物静かで声も小さくかすれていたが
戦争に行った時の事をよく教えてくれた


別所のおじちゃんは
別所医院の長男で写真が大好きだったから
戦争中は写真部隊にいて
南方の戦地に行っていたらしい
それで戦後 写真館をやっていた

でも 写真の話しより 戦争の話しが多かった

戦地では みんなと仲良くしないと
味方から弾が飛んでくる
とか

ジャングルの中で肉なんかないのに
食事に肉が出た

とか

軍歌も教えてくれた
「新平さんはかわいやな〜
また寝て泣くのかよ〜

とかを おもしろおかしく教えてくれた

ゆっくり立ち上がり
「帰るけぇ」
と言うと母が
「お裾分けだけ食べてぇな」
と言って
その日の料理などをおじちゃんに持たせていた

おじちゃんは大抵サンダル履きで
少し足をすって歩いた
そして
また 自転車で帰って行く

別所のおじちゃんも常連客の一人だった

( 別所のおじちゃんは母方の親戚で
 織田信長と戦い、城兵達の命を助ける事と引き替えに妻子兄弟と共に自害して果てた戦国大名で
播磨国三木城城主別所長治の末裔だった )

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